[メイン2]
ルシファー :
Another side OP 『0』
登場:いる奴
[メイン2] 逸見 エリカ : 1d10 (1D10) > 3
[メイン2] 黒江 : 35+1d10 登場/リザレクト (35+1D10) > 35+10[10] > 45
[メイン2] 松坂さとう : 33+1d10 登場/リザレクト (33+1D10) > 33+3[3] > 36
[メイン2] ルシファー : 44+1d10 登場/リザレクト (44+1D10) > 44+4[4] > 48
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] : 遮光性のガラス窓が冷気で白く曇る。
[メイン2] : 雪の中を進んでいるのか、車内は常にパラパラという音に晒されていた。
[メイン2]
:
[メイン2] ルシファー : 「─────という訳だ」
[メイン2]
逸見 エリカ :
「成程ねぇ」
窓の外を眺めつつ
[メイン2] 松坂さとう : 「……なるほど……この雪はそのため、ですか……」
[メイン2]
逸見 エリカ :
「まぁ、この様子を見たら気持ちもわからないでもない…わね」
任務の内容を反芻しつつ
[メイン2]
黒江 :
「……遺産の回収、ですか…」
車内、姿勢を整えた状態で話を聞き終わる。
[メイン2] ルシファー : この異常とも言える寒気の原因たる遺産の回収、あるいは破壊を命じられた者達がそこには集っていた。
[メイン2]
松坂さとう :
「……こんな危険な遺産……手に負えるんでしょうかね……」
車に揺れながら、桜色の髪の少女が、そう呟く。
[メイン2]
黒江 :
「……わかりません、けど…」
桃色の少女の声を聞き、ぽつり
[メイン2] 逸見 エリカ : 「負えないから破壊も辞さない、のでしょうね」
[メイン2] ルシファー : そんな中気怠げに口を開いていた白髪の男はそれで話は終わり。質問は受け付けないとばかりに数式の多く書かれた専門書に取り掛かっていた。
[メイン2] 松坂さとう : その姿は……"FH"(テロリスト)にしては、あまりにも"普通"な、女子高校生のように見え。
[メイン2] 黒江 : 「…任務を任されたのなら…やるしかないんじゃないんでしょうか……」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「つっても、実物を見るまでは判断しかねるけども」
[メイン2] 黒江 : ぼそぼそ、自信のないような声で呟きながら。
[メイン2] 松坂さとう : 「……そうですね…… ……それが、私達の仕事、ですからね……」
[メイン2] 黒江 : 「…あ…ええっと…皆さんは、どう思ってますか……その……」
[メイン2] 黒江 : ふと、気になっていたことが頭の中に。
[メイン2]
逸見 エリカ :
「誰かを害するよりは気が楽なんじゃあないの?」
ちらりと一瞥して
[メイン2] 松坂さとう : 読書を始めるルシファーを一瞥しながらも、黒江の方を見る。
[メイン2] 黒江 : 「……”UGN”と接触の可能性もある、んですよね」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「でしょうね」
[メイン2] 松坂さとう : 「……ええ、戦闘は、おそらくは避けられないでしょうね」
[メイン2] 黒江 : 「その時、戦う…”害する”ことになるかもしれません、し……」
[メイン2] 松坂さとう : 少し、表情が暗くなりながら。
[メイン2] 黒江 : …UGNは危険な所だと、思い知っている。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「戦いたくなきゃあ逃げたらいいんじゃあないの?」
[メイン2] 松坂さとう : 「……私は……"仕方ない"と思ってますよ ……黒江さんも、そうなんじゃないですか?」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「命を懸けるほど殊勝な奴ならまー何も言わないけどね」
[メイン2] 黒江 : 私が数々、任務をこなそうとしている所にエフェクトを放たれたり散々な目に合った。
[メイン2] 松坂さとう : エリカの、逃げればいい、という言葉に少し反応し、横目で見ながら。
[メイン2] 黒江 : 「……そりゃあ…その……安全に逃げられるなら、そうしてますよ…」
[メイン2] 松坂さとう : 「……エリカさんは、あまり任務に乗り気では無いのですか?」
[メイン2]
黒江 :
「…ですから…あなたの言う通り”仕方ない”んです」
2人にそう返しながら、エリカの方へと向く。
[メイン2]
逸見 エリカ :
「この雪とか状況を見て楽しい遠足になるとは思わないタイプだけど」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「少なくとも明るい職場じゃあないでしょ?」
[メイン2] 松坂さとう : 「………そう、ですね」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、ルシファーの方へ視線を向け。
[メイン2]
黒江 :
「……それは……その……」
言いよどむが、ほぼ肯定して。
[メイン2] 松坂さとう : 「……ルシファーさんは、今回の任務……どう、思われますか……?」
[メイン2] 松坂さとう : ……読書の邪魔になっちゃいましたかね。
[メイン2] ルシファー : 「興味深い」
[メイン2]
黒江 :
FHは危険な場所。
今回のメンツは……会話してくれるし、割と”いい”方だけど…
[メイン2] 松坂さとう : ただ……任務を共にする者同士なら、その考えは知りたいから……。
[メイン2] 黒江 : 「きょ、興味深い…ですか…?」
[メイン2] ルシファー : みじろぎ一つせず、目線も返さずそう返す。
[メイン2]
逸見 エリカ :
「へぇ」
頬杖付きつつ
[メイン2] 松坂さとう : 「……遺産が、ですか……?」
[メイン2] 黒江 : 口に出されたその言葉に、思わず言葉が漏れる。
[メイン2] ルシファー : 「既存の概ねの遺産は分類分けも既に終わっている」
[メイン2]
逸見 エリカ :
「弓だとか剣だとかのアレね」
たまに見かけるような道具を想い返しつつ
[メイン2] ルシファー : 「剣、弓、古太刀、槌、石板、いくらでも見る。もはや検体としての価値は薄い」
[メイン2]
黒江 :
「……そういえば…そうですね」
ちらり、自らの花の宝石のようなものを見て。
[メイン2]
松坂さとう :
「稀少なものではありますが…… ……ええ、見なくはない存在です」
黒江が持つ宝石を一瞥しながら。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「でも今回は"別"と」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「ま、こんだけ大暴れするのも久しく聞かないしね」
[メイン2]
黒江 :
”祈りの造花”、これもFHの人に言われた”遺産”。
大分けされている中の一つであるとも、その時聞かされた。
[メイン2]
松坂さとう :
「契約者不在でここまで暴走する……レネゲイドって、本当に恐ろしいですね」
エリカの方を見ながら。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「今回ほどは珍しいもんでしょうよ」
[メイン2] 黒江 : 「都市全体にまで影響があります…から、ね…」
[メイン2] 逸見 エリカ : 「だからお上も破壊も考慮してるし」
[メイン2]
松坂さとう :
「……できることなら私は……破壊を、選びたいですね」
そう言い、窓の外を眺めながら。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「いつもなら回収できないならアウトだったんじゃない?」
[メイン2] ルシファー : それらのやり取りに対し、パタ、と本を閉じる。
[メイン2] 松坂さとう : ……この遺産が回収され、軍事利用されたら……おそらくこの街は……。
[メイン2]
逸見 エリカ :
「実物を見るまではノーコメントよ」
肩を竦めて
[メイン2] ルシファー : 「………恐ろしい?」
[メイン2] 松坂さとう : ………しおちゃんと、こっそり変装しながら遊んでるこの街が、全部……。
[メイン2]
黒江 :
「……私は……」
さとうの破壊、という言葉に返そうと…するも。
決まっていないのか、言葉が詰まり。
[メイン2]
松坂さとう :
「……はい」
ゆっくりルシファーの方へ向き、はっきり頷く。
[メイン2] ルシファー : 「何がだ」
[メイン2] ルシファー : 「俺からすれば」
[メイン2] ルシファー : 「お前達の態度の方がいくらか空恐ろしく見える」
[メイン2] 松坂さとう : 「……え…?」
[メイン2] 黒江 : 「……え、っ…」
[メイン2] 黒江 : さとうの肯定に内心頷いていたものの。
[メイン2] ルシファー : 「まさか…自分がテロリストであることを忘れているのか…?そこまでの愚図とは思えんが」
[メイン2] 松坂さとう : 「…………」
[メイン2]
逸見 エリカ :
「そこまで吹っ切れられないんじゃあないの?まだ」
[メイン2] 松坂さとう : ……そう、私は、私達は……"FH"(テロリスト)。
[メイン2] 松坂さとう : 理由はどうあれ……誰かを傷つけて、生きている。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「ま、こんなのまで見て腰を引けさせても困るけどね」
[メイン2] 黒江 : 「……忘れてはない、ですよ…」
[メイン2] 松坂さとう : 「………分かってますよ」
[メイン2] 松坂さとう : 「任務は遂行します、それでいいんですよね……?」
[メイン2] ルシファー : はぁ、とため息を吐く。
[メイン2] 黒江 : 「……腰は引けてても、恐ろしくても…”やらないといけない”じゃないですか…」
[メイン2] ルシファー : 「自責が嫌ならそう言っておけ」
[メイン2]
黒江 :
溜息に、思わずびくり。
背筋を震わせて。
[メイン2] ルシファー : 「その場合俺の指示には絶対服従だがな」
[メイン2]
松坂さとう :
「………」
自責、その言葉に拳を握り締めながらも。
[メイン2]
松坂さとう :
「……自分の道は、自分で選びます」
ルシアーの目を見ながら。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「そこまで釘を刺さなくても、けったいな事は考えないでしょうよ」
[メイン2]
黒江 :
「ふ、服従っ…」
その言葉に、声が震えながらも。
[メイン2] 松坂さとう : 自責の、肯定。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「どうせ、こんな状態でふざけても冷凍処理が幾ばくか早くなるだけだしね」
[メイン2] 黒江 : 「……ここに来た分、私のやる事はやります、から…!」
[メイン2] 逸見 エリカ : その言葉にまた肩を竦めつつ
[メイン2]
黒江 :
「……冷凍、処理…」
ぼそぼそ、言葉を飲み込んで。
[メイン2]
黒江 :
うう……何だか、怒らせてしまったのかな…
もっといい言葉言わないと、ダメだよね…
[メイン2] 逸見 エリカ : 「精々遺産をさっさと見つける事にするわよ、凍えるのは趣味じゃないしね」
[メイン2]
松坂さとう :
「……ええ、心まで冷え込んでしまっては、仕方ないですからね」
自嘲の笑みを浮かべながら。
[メイン2] 黒江 : 「わ、私も…体が冷えない内に頑張ります…」
[メイン2] ルシファー : 目を細め
[メイン2] ルシファー : 「…時間だ」
[メイン2] 松坂さとう : 「………はい」
[メイン2] ルシファー : 車が止まる。
[メイン2] 逸見 エリカ : 「どうも」
[メイン2] 黒江 : 「……!」
[メイン2] ルシファー : ここから先は、積雪のため徒歩で向かえという合図。
[メイン2] ルシファー : つまりは…遺産の影響の中心地に向かっているということだ。
[メイン2]
松坂さとう :
表情が、変わる。
……ここからは、"FH"の、"最低な"、仕事。
[メイン2] 黒江 : 下がっていた頭をゆっくりと上げて。
[メイン2] 松坂さとう : 車を降り。ルシファーらに一礼。
[メイン2]
逸見 エリカ :
「んじゃあ、よろしくね」
コートを羽織り直しつつ
[メイン2] 黒江 : 「……ここからが、『自責』の分ですね」
[メイン2] 松坂さとう : 「……皆さん、御武運を」
[メイン2] 黒江 : そう言って、服を着直す。
[メイン2] 松坂さとう : 厚着のコートに包まり、ざく、ざく、という足音と共に、外へ─────。
[メイン2] 逸見 エリカ : 溜息は白く染まって、それを見てもう一度溜息を吐きつつ
[メイン2] 逸見 エリカ : 真っ白な景色の中に特段躊躇わず歩いて行く
[メイン2]
黒江 :
羽ばたく為にか、あるいは。
一枚の黒い羽根は、はらりと外へと。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「…………俺は」
[メイン2] ルシファー : 「兵隊を寄越せと言ったはずだったんだがな」
[メイン2] ルシファー : 雪の中に、一つ、二つ、と
[メイン2] ルシファー : 跡が刻まれて行った。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] 松坂さとう : middle「私の幸せな日々」 登場:私
[メイン2] 松坂さとう : 36+1d10 登場/リザレクト (36+1D10) > 36+6[6] > 42
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : そこは、白一色だった。
[メイン2] 松坂さとう : とても"綺麗"な場所だった。
[メイン2] 松坂さとう : 生命の息吹を感じさせない、冷たい場所。
[メイン2] 松坂さとう : それでいて……穢れが無いような。
[メイン2] 松坂さとう : ……甘くも、苦くも無い。
[メイン2] 松坂さとう : ………"無味"。
[メイン2] 松坂さとう : 「……厚着で来ましたけど……流石に、堪えますね、この寒さは……」
[メイン2] 松坂さとう : はぁ。と白い息を吐き捨て、辺りの、ただ真っ白な雪景色を見渡す。
[メイン2] 松坂さとう : 視界なんて存在しないも同義。
[メイン2]
松坂さとう :
白、白、白。
どこもかしこも、白。
[メイン2] 松坂さとう : 人間は、何も無い空間にい続けると発狂してしまうんだとか。
[メイン2]
松坂さとう :
本に書いてあったような気がします。
それは……多分、本当なんでしょうね。
[メイン2] 松坂さとう : オーヴァードにはなりましたけど、それでも私は……『人間』、ですから。
[メイン2]
松坂さとう :
……FHは、オーヴァードを世に広めるというのを基本理念として活動している組織であり。
1のオーヴァードのためであれば、10の非オーヴァードを堂々と斬り捨ててしまうような、そんな裏組織。
[メイン2] 松坂さとう : ……言ってしまえば、テロリスト。
[メイン2] 松坂さとう : そんな組織に何故私がいるか……。
[メイン2] 松坂さとう : ……別に、私は……好きで、テロリスト活動しているわけではありません。
[メイン2]
松坂さとう :
殺しの経験は確かにありますけど
そこに快楽を得ることはありません。むしろ苦痛です。
[メイン2] 松坂さとう : "苦い"です。
[メイン2] 松坂さとう : ただ──────────"目的"のための殺しであれば……私は、構わない……そう、思ってます。
[メイン2]
松坂さとう :
それをしなければ、自分がどうにかなってしまう。
それをしなければ、全てを失ってしまう。
それをしなければ─────。
[メイン2]
松坂さとう :
……正当防衛にしては、過剰である、というのは自覚はしてますけど。
それでも私は、こうするしかなかったわけです。
[メイン2] 松坂さとう : 「……遺産……見つかりませんね……」
[メイン2] 松坂さとう : 気配を鋭くし、周囲を強く警戒しながら、歩く、歩く、歩く。
[メイン2] 松坂さとう : 私が、"FH"(テロリスト)にいる理由、それは─────。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「……しおちゃん、待っててね」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2]
松坂さとう :
FHにしかいられない、《不死者》の幼い少女─────。
しおちゃんのために、私は、ここにいる─────。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : middle「正義と、悪」 登場:さとう、アッシュズ
[メイン2] 松坂さとう : 42+1d10 登場/リザレクト (42+1D10) > 42+1[1] > 43
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 32+1d10 登場/リザレクト (32+1D10) > 32+5[5] > 37
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : …………………。
[メイン2] 松坂さとう : ………。
[メイン2] 松坂さとう : ……?……気配……。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───電子タバコの灯りが、弱弱しく見えるほど
あまりにも雪の『白』が眩しかった。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
付近の建物へと、一旦寄った俺は
緊張を誤魔化すように煙の味を味わいながら、一人、快適な室温で
これまた緊張を誤魔化すように寛いでいた……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
シャンクス───心配は無用かもしれないが
あの少女の剣戟は、やはり思い返しても……現実味がないほどに迅かった。
彼女が何を求めているのか、までは俺は耳朶に触れる事もなかったが。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
…………彼女が『FH』だとすれば
間違いなく、何かしらの欲望に傾倒している……そのために剣戟を振るったのだろう。
しかし、民間人の避難が完了していない今、FHが動いているとなると厄介だ。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「フーッ……」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
…………
博士……『コードウェル博士』……
そっち
何故、アンタが『FH』へ行ってしまったんだ
ここ
『UGN』を古巣にするどころか、自らの手で葬っていこうなどとは……
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
…………
生きていたんなら、俺に何故一声かけてくれなかったんだ
……あの爆発事故は、間違いなく仕組まれていた……
俺が、真実を究明して……仕掛けた奴らの化けの皮を剥がして
つるし上げる事だってしてやったのに……
[メイン2] : カツ……。
[メイン2] : カツ……。
[メイン2] : カツ………。
[メイン2] : 思案中のアッシュズの耳に、靴音が。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
さっきと同じだ。
いやに、俺は……感覚が研ぎ澄まされてしまっているようだ。
[メイン2] : 建物内に響く。何者かが近づいてくる音。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : こんな猛吹雪の中、だというのに。
[メイン2] : そう。
[メイン2] : 外は猛吹雪。民間人の避難も進んでいる状況下で。
[メイン2] : "たった一人"の、足音。
[メイン2] 松坂さとう : ─────そして、暗がりよりその姿が、明らかになっていく。
[メイン2] 松坂さとう : 桃色の髪の、至って普通の容姿の少女。
[メイン2] 松坂さとう : 防寒対策の厚着に身を包んだ、女子高生程度の身長の少女。
[メイン2]
松坂さとう :
普通の、少女。
─────手に握られた、キーンナイフを除いてだが。
[メイン2] 松坂さとう : 「……お一人ですか?」
[メイン2] 松坂さとう : 「─────"UGN"」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
爪に透かした肌のように、可憐な髪を揺らす
厚着を着込んだ少女───その手に握られた、命を殺める事も厭わない発露が
俺の頭を、逆に冷やした。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「…………わざわざそんな物を手にぶらさげて
そしてその"一言"……」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
電子タバコの灯りを消すと、目の前でくるりと回して見せて
失敗して
普通に戻し。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「…………そういうこと、か」
[メイン2]
松坂さとう :
「……まぁ……これは、自衛用ですよ」
そう言い、手に持ったキーンナイフに目線を動かしつつ。
[メイン2] 松坂さとう : 「………」
[メイン2] 松坂さとう : 電子タバコをくるりと回したのを失敗したのを見て、一瞬、調子が崩れ。
[メイン2] 松坂さとう : 「………あ ……ええ、"そういうこと"、ですよ」
[メイン2] 松坂さとう : 再び、アッシュズを、じっと見る。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「そ、"そういうこと"だよな、やっぱり……うん……」
調子が崩れたタイミングからして、一体何が起因となったかは明白で
こちらも動揺する。
[メイン2] 松坂さとう : 「……え、えっとですね」
[メイン2] 松坂さとう : 目を閉じ、呼吸を整えながら。
[メイン2] 松坂さとう : そして、目を見開き、真っ赤な瞳を晒し。
[メイン2]
松坂さとう :
「………あなたも、遺産を探しているんですよね?」
小首を傾げ、そう問う。
[メイン2]
松坂さとう :
……こうして、敵意を見せつけても一切動じない。
……手慣れた、UGNエージェントでしょうか……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
……視線。
切る事のできない視線が赤みを帯びると、俺は思わず電子タバコを再び取り出し
───何故か、目の前でまたくるりと回し。
成功か失敗か、微妙な判定を下すしかない結果に終わると。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「…………『遺産』の回収、あるいは破壊……
そっちも、それが"目的"なのだろう……」
[メイン2]
松坂さとう :
……あのタバコをくるくるするのは一体……?
……もしや、私の集中を切らす作戦か何か……?
[メイン2] 松坂さとう : 「………ええ」
[メイン2]
松坂さとう :
「……尤も私は……」
そう言い、ナイフを手の上でくるくると回しながら。
[メイン2] 松坂さとう : 「………回収には、あまり興味は無いんですけどね」
[メイン2]
松坂さとう :
さとうに下された任務は、遺産の回収であり
それができるのが、本来のFHの仕事として、ベストな結果である。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「…………大層な御手前だな
大道芸で、きっと稼げるぞ……」
電子タバコを再びしまうと、俺はその一言を聞き逃すわけもなく。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「『破壊』───一択というわけだな?」
[メイン2] 松坂さとう : 頷く。
[メイン2] 松坂さとう : 「………あれは……あってはならないもの、ですからね」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、外の景色に視線を動かす。
[メイン2] 松坂さとう : 「……この白一色の世界、貴方はどう思いますか?」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───雪合戦しようにも、相手の位置もわかりやしないクソゲーだ
雪だるまを作ろうにも、すぐに埋もれてしまう……
雪掻きもできるわけもないな……」
と、並び立てた後に。
[メイン2] 松坂さとう : アッシュズの言葉を聞き、しおちゃんと雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりする情景が頭に思い浮かびながらも。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「インフラは時間が経てば経つほど途絶えていき
……『電波』も不安定になっていって、"普通"が失われていくだろうな」
[メイン2] 松坂さとう : 「………ええ、この街の『日常』は─────失われるでしょうね」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「そして、それはUGNだけでない、FHも困るだろう
この市内を拠点としているFHも、いるだろうからな」
すると、そのまま俺はドアを開ける。
[メイン2] 松坂さとう : 「夏になっても、解けない、あらゆる『温もり』を奪う遺産─────」
[メイン2]
松坂さとう :
「……さぁ、どうでしょうかね…… ……?」
実際、FHがこの事態に関して困っているのは……遺産が自分達の手から離れてしまったという事実のみ。
『日常』のことなど一切考えない、それがFHであり。
さとうの考えは、少し異常側ではあるが……。
[メイン2] 松坂さとう : 開けられたドアを見て。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「乗りかかった船だと思え
───どうせこのまま見逃すつもりもないんだろう」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「……それに、どうやら目的そのものは『同じ』のようだからな」
[メイン2]
松坂さとう :
「……………」
目を細める。
[メイン2] 松坂さとう : そして、思考を巡らせる。
[メイン2] 松坂さとう : これは、一体……?
[メイン2] 松坂さとう : ……私は、確かに協力を持ちかけるつもりではありましたが……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「……ただ『目的』が同じだから……そんな理由だけで
ここに足を踏み入れさせるわけにもいかなかったんだがな……
……しかしアンタ……その……何だ」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 目を逸らし。
[メイン2] 松坂さとう : ……テロリスト相手の要求をすんなりと飲まれる、というのは想定しておらず。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「雪合戦だとか、雪だるまがどうとか言った時に……」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「"らしい"顔をしてたもんでな……」
[メイン2]
松坂さとう :
「………え…」
そう言い、自分の頬に手を触れ。
[メイン2] 松坂さとう : 「……UGN」
[メイン2] 松坂さとう : 「私は……」
[メイン2] 松坂さとう : 「"FH"です。」
[メイン2] 松坂さとう : 「………私と協力しているのを見られたら、どうなるか分かっていますか?」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ハハハ……何故だろうな? 始末書じゃあ済まないかもしれないのに
俺がこう見えて
20年も前だが……人の『日常』なんて顧みない、己の『日常』のみに焦がれた
───"FH"だったゆえの、判断か?」
[メイン2] 松坂さとう : 「………………だ、った……?」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「『コードウェル博士』」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「……俺の恩人だ」
[メイン2] 松坂さとう : 「………なるほど…」
[メイン2] 松坂さとう : 現在、FH全体の指揮権を担う、謎多き男。
[メイン2]
松坂さとう :
コードウェル博士。
……尤も、私は会ったことはないですが……。
[メイン2] 松坂さとう : 「………FHには、コードウェル博士反対派もいますよ?それでも、FHの木っ端である私を、『信頼』するつもりですか?」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「UGNにも、反対派なんているさ
おかげで……おそらく彼がUGNを死を擬装し『離反』したもんでね……
おっと、『信頼』はしてないさ、"FH"である君を『信頼』なんてとてもできない」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「……ただ、こんな猛吹雪で一人の少女を取り残したりなんかしたら
人として恥だろう……なんてな」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
苦し紛れだが、それっぽい言い訳をしながら。
『快適室温』を発動する。
[メイン2]
松坂さとう :
「………お人好しですね」
─────『温もり』を、感じながら。
[メイン2]
松坂さとう :
苦くない……どこか、"甘い"。
そんな気分に。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───かつての博士が示してくれた道だ
それを裏切れない、だからこそUGNも、『裏切れなかった』身でね
ハハハ……ここだけの話だからな? 内緒だ」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : "今"の『博士』は肯定しない、とでもいわんばかりに。
[メイン2] 松坂さとう : 「……ふふ、誰にも話しませんよ、そんなこと」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、目をまた閉じ。
[メイン2] 松坂さとう : 「………分かりました……ではここからは、『信頼』ではなく、お互い……」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「─────『利用』、し合いましょう。」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「……それなら、問題は無いですよね?」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ああ───それならば『問題は一切無い』
ユミル
全てが偶然だ……熱気と冷気が偶然ぶつかりあって、原初の生命が生まれたようにな」
[メイン2] 松坂さとう : 頷き、キーンアイフを仕舞う。
[メイン2] 松坂さとう : 「─────"砂糖少女"(シュガーガール)」
[メイン2] 松坂さとう : 「……そう、呼ばれています」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「へえ、いいコードネームじゃあないか
だがむしろ……君自身が甘いというより、君自身が……甘い、甘い何かを
求めてるような印象を受けるな、なんて、嘘だ、毛ほども思ってはいない」
[メイン2] 松坂さとう : 「……ふふ、嘘が下手ですね」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「フッ───」
アッシュズ・トゥ・アッシュズ
「───【灰から灰へ】……それが俺のコードネームだ
といっても、自分で名付けた名でもあるんだがね……」
[メイン2] 松坂さとう : 「………アッシュズさん、ですか」
[メイン2] 松坂さとう : 雪と、砂糖と、灰。
[メイン2] 松坂さとう : どれも、"白"。
[メイン2] 松坂さとう : 無地の色に、この先、何が彩られることになるのか─────。
[メイン2] 松坂さとう : 「……よろしくお願いしますね、アッシュズさん」
[メイン2] 松坂さとう : ほんの少しだけ微笑みながら。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ああ、こちらこそ……"砂糖少女"……
言っとくがFHだろうが、俺も大人だ、それだけは言っておく
『利用』すると言ってもだ、しっかり子供扱いするからな……保護者として」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : なんて、"さっき"のFHらしき少女には滝のように汗を流す事しかできなかったのだがな。
[メイン2] 松坂さとう : 「子ども扱いはやめてください」きっぱり。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───"少女"と、呼ばれている癖に」
ぼそっと呟くと、エンジンを掛け直し。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
……"少女"か
そういえば俺は31……もうすぐ32、か
───すっかり追い越してしまったな、彼女を……
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 『ウィンストン』……
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
そして、けたたましい猛吹雪の中
対照的な室温を保った空間に揺られながら、発進した。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
one of climax 『000』
登場:任意
[メイン2] ルシファー : 63+1d10 登場/リザレクト (63+1D10) > 63+10[10] > 73
[メイン2] 松坂さとう : 43+1d10 登場/リザレクト (43+1D10) > 43+8[8] > 51
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 37+1d10 登場/リザレクト (37+1D10) > 37+7[7] > 44
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : ソレと出会うのは紛れもなく不幸だ。
[メイン2] ルシファー : だが、得てして不幸とは────
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 隣人のように気安く距離を詰めてくるものだ。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] : 寒空の下、高速で突き進む車
[メイン2]
:
[メイン2] : 「……距離、3…」
[メイン2] : 「2………」
[メイン2] : 「1…………」
[メイン2]
:
[メイン2]
:
[メイン2] ルシファー : 「────ゼロ」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 突如として、運転席から視界の中に映ったのは白き男。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───!!!」
今日は、今日はなんて───
[メイン2]
松坂さとう :
「──────────ッッ……!?!」
助手席に座るさとうも、当然ソレを目撃。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
『厄日』だ……!
[メイン2] 松坂さとう : 「……"ダーク・ラプチャー"ッ……!?」
[メイン2] ルシファー : 車中にあるその姿を目視すると
[メイン2]
松坂さとう :
まずい………まずい、まずい……!!
まさか、こんな早く"見られる"だなんて……!!
[メイン2] ルシファー : 「…余りにもくだらん」
[メイン2]
松坂さとう :
凍てつく寒さの中、さらに体が冷え込んでいくようで。
零点下というにも関わらず、首筋に汗が伝う。
[メイン2] ルシファー : 何の躊躇も遠慮もなく車へと破壊の渦を解き放った。
[メイン2] 松坂さとう : 「なッ………!?」
[メイン2] 松坂さとう : 堂々と差し向けられた─────"殺意"の塊。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───どうやら"知り合い"のようだな
すまんな"砂糖少女"……けれどそう焦る事はない
所詮は『利用』する者同士、だろう」
[メイン2]
松坂さとう :
"ダーク・ラプチャー"は……私の姿を、視認した。
……にも関わらず、何の躊躇も無く……!!……当たり前だ、"裏切り者"(ダブルクロス)に見えて当然なのだから、今この光景は……!
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
はた目から見れば、この状況、環境においては『無茶』な運転だろうが
残念だが───無茶な事は今日始まった事でもない
腐るほど浴びてきたのでな───……!
[メイン2] 松坂さとう : 「……!!……え、ええ……でも、アッシュズさん、早く何とかしないと車が……!!」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
タイヤが悲鳴をあげ───
そのまま間一髪、その破壊の渦を避け───
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : たかに思えたが、その余波で横転する。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「ウオオオオッッッッ!!!!!!」
[メイン2] 松坂さとう : 「うあぁああっ……!?!くぅぅッ……!!!」
[メイン2] 松坂さとう : 転がりゆく中、車内で体を打ちつけられる。
[メイン2] 松坂さとう : そうして、額から……ツゥゥ、と。
[メイン2] 松坂さとう : 赤い、生きている証が、流れ落ちる。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「…………あの攻撃が"直撃"するよりはマシ───
お、おい大丈夫か……? なんて言ってる場合じゃあ、ないな……!」
ドアを開くと、そのまま血を流す少女を引っ張り出そうと
[メイン2]
松坂さとう :
「はぁ……!はぁ……!だ、大丈夫ですか……!?アッシュズさん……!!……あ」
ぐい、と引っ張られ。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「心配されるほどヤワには作られてないんでな……
君の方は大丈夫で何よりだ……『それより』……」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : さきほどの"渦"を放った───"ダーク・ラプチャー"と呼ばれた男の影を探す。
[メイン2]
松坂さとう :
「……ええ、私達は……オーヴァード、ですからね」
呼吸を整えながら─────額の傷が、徐々に治っていく。
[メイン2]
松坂さとう :
そうして、対峙する。
─────その"殺意"と。
[メイン2] ルシファー : 目の前のその『結果』を、何の感慨もない顔で見つめ
[メイン2] ルシファー : 「…やはりこの気候では速度と精度が狂うな」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
冷たい表情だな……
この降り積もる雪よりも冷たい……。
[メイン2]
松坂さとう :
「っ………!」
……今の攻撃は……本気じゃ、無かった……!?
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「あれで精度が狂った、か
それは随分と謙虚だな……"本気"かに思えたが……」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
いや、確かに本気じゃあなかったが……!
後先考えずに、俺は物を言う。
俺は少し、妙に強気に。
[メイン2] 松坂さとう : 即座にキーンナイフを手にし。ルシファーを睨む。
[メイン2] ルシファー : 「アレを避けた腕で良く言う。相当なものだ」
[メイン2] 松坂さとう : 「……"裏切り者"の粛清に来たのですか?"ダーク・ラプチャー"さん」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「避けた? 見ろ
これは俺の車だぞ! 横転してあちこちひしゃげてる……なんて
言ってる場合じゃあないか……」
[メイン2] 松坂さとう : 転がるアッシュズの車を横目で見て、眉を顰めつつ。
[メイン2] ルシファー : 「……どうも、今日は妙な連中にばかり会う」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ああ───それはこっちも同じでな」
先ほどの"不気味な少女"と
そして、横転した車を横目で見ている砂糖少女を一瞥し。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「アンタで三人目だ」
[メイン2] ルシファー : 「俺が妙…?まさか」
[メイン2] ルシファー : 「俺は俺という存在に何の矛盾もしていない」
[メイン2] ルシファー : 「俺はFHセルリーダーだ」
[メイン2] ルシファー : 「俺はテロリストだ」
[メイン2] ルシファー : 「俺は研究者だ」
[メイン2] ルシファー : 「俺はルシファーだ」
[メイン2]
松坂さとう :
……紡がれる言葉の節々に、どこか……
ルシファーの怒り……いや……焦り……?……を抱く、さとう。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───ならば、俺はUGN支部長だ
料理人だ……そして一万人の部下を従えているのでな
いや最後のは嘘だ、忘れてくれ───」
[メイン2]
松坂さとう :
気圧されそうになるも。隣から聞こえた、明るく、真っ直ぐな声。
……アッシュズの存在に、励まされる。
[メイン2] ルシファー : そんな言葉に篭る意味も測らず
[メイン2]
松坂さとう :
最低な
……私も、"FH"人間なんですけどね……。UGNに頼ってしまうとは……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
いくら"FH"……"子供扱いするな"と念を押されているとはいえ
"少女"の眼前……『大人』として、中々態度を保ってないと
ヘビィだぜ……。
[メイン2] ルシファー : 「では聞こう…お前に興味が湧いた」
[メイン2] ルシファー : 「何故お前は…FHのガキなんぞを連れている」
[メイン2] 松坂さとう : ルシファーの視線の先─────アッシュズの方へ、目を動かす。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「"ガキ"だからだ
───おかげで、話術で無力化が出来たと思ったが……どうやら違うらしい、な」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 我ながら……
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : へたくそな嘘だ。
[メイン2] 松坂さとう : ……また、子ども扱い……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「所詮は"FH"……だがされど"FH"
無力化されてるふりをして、俺を『利用』し……
そして"FH"同士といえど相容れないためか、俺をお前に差し向けようとしてるのかもしれないな」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 俺も、『利用』してる側、なんだがな……。
[メイン2] ルシファー : 「ほう…そこまで分析出来ているのならお前に提案がある」
[メイン2] ルシファー : 「今すぐソレを置いて逃げるのなら俺は追わんぞ」
[メイン2] ルシファー : 「元より、俺の目的はソレだけだ」
[メイン2]
松坂さとう :
「っ………」
ソレ─────ルシファーの視線の先にいる、私。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───ほお、置いて逃げて
この少女はどうなる? "FH"である以前に、彼女はお前の言った通り
まだ"ガキ"だぜ?」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
どうしても額に汗が滲む。
これほど猛吹雪が視界を時折阻んでくれる事が、喜ばしい事もない。
[メイン2] ルシファー : 「…ああ、なるほど。所属の以前に存在あり気で考えている訳か」
[メイン2] ルシファー : 「そしてお前の質問に答えるとすれば」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「────俺の研究に使う」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「遺産と契約させてな」
[メイン2] ルシファー : 「遺産は、その遺産だけでなく契約者の心身にも深い影響を与える」
[メイン2]
ルシファー :
「本来は遺産の回収だけ出来ればそれで良かったが」
「どうもそれも難しそうだからな」
「実力行使に出るしかなくなった」
[メイン2]
松坂さとう :
「なっ……!?私を、あの遺産と……!?」
流石に動揺が身体中に迸る。
件の遺産の情報は、既に知っている。調査済みだ。
[メイン2] 松坂さとう : ─────契約者は、『感情』を、失う。
[メイン2]
松坂さとう :
そうなってしまえば、私は……私は─────
─────しおちゃんに抱く、この"甘い"感情……『愛情』が、全部……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「なるほど、わかった
そういうことか」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「つまりこういうわけだな」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───アンタ
"ガキ"を使わなきゃあ何もできない
チキン
『臆病者』か、しかも胡椒が利いて、中々厳しいほどスパイシーだな
"砂糖"と"チキン"は合わないぞ」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
やっちまったな───
が、直情的なのは……20年前から……『むしろ伸ばせ』と
博士に言われたもんでね……。
[メイン2]
松坂さとう :
「………アッシュズさん……」
……『敵』。でも、『味方』でいてくれる。
………ふふ、本当に─────ありがとうございます。
[メイン2] 松坂さとう : そうして、ゆっくりと目を閉じ─────。
[メイン2] 松坂さとう : また、目を開く。真っ赤な瞳をルシファーへ向け。
[メイン2] 松坂さとう : 「……私は、"獣"以下の存在になるつもりは、ありませんので。」
[メイン2] 松坂さとう : キッパリと、そう告げる。
[メイン2] ルシファー : それらの言葉を黙ったまま聞き届け────
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「そうか」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「──────そんなに死に急ぎたいか」
[メイン2] ルシファー : その白き衣を突き破り
[メイン2] ルシファー : 黒き十二枚羽が展開する。
[メイン2] ルシファー : 「俺のことをチキンと呼んだが────」
[メイン2] ルシファー : 「その羽ばたきの力、お前達の身体で検証してやろう」
[メイン2]
松坂さとう :
何て恐ろしく、強大な……禍々しい威圧ッ……!!
"ダーク・ラプチャー"さんの……完全な、臨戦態勢………!!
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
重力さえも、まるで感じるかのような……"プレッシャー"ッ!!!
これが……"ダーク・ラプチャー"か……!
[メイン2]
松坂さとう :
「………ここで"灰"となるのは……貴方だけです……!!」
─────それでも私は、戦う。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───死に急ぐ、か
俺はその競争……ビリでゴールするさ」
[メイン2]
松坂さとう :
帰るべき場所があるから、例え薄汚れたテロリストの身になっても。
代えがたい『欲望』があるから。だから─────死ねない。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 黒き翼が周囲の風、雪、空気
[メイン2] ルシファー : そして"白"を切り裂き─────
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 《ワーディング》と共に周囲から世界を切り取った。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
松坂さとう :
体内に宿る、レネゲイドの奔流。湧き上がる衝動本能。
ビリビリとした感覚に、痺れを覚えながらも─────。
[メイン2]
松坂さとう :
「ぐッ……!!!」
その、全てを斬り割かんとする一閃を避ける─────!!
[メイン2] 松坂さとう : が、頬に深い傷を負い。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───いくつもの修羅場を、潜り抜けてきたってのに
やはりこの感覚……!!! 慣れんなッ……!!!
[メイン2] 松坂さとう : "白"の世界に、"赤"が混ざる。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
それを紛らわせるように
弾指。白の世界に、赤が混じった瞬間。
弾け飛ぶは火花。
[メイン2]
松坂さとう :
「いっつゥッ……!!……アッシュズさんッ!!」
傷を負いながらも。痛みを感じながらも。
ルシファーを囲むように接近すると、アッシュズへアイコンタクトを送る。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
自慢のスーツに、一閃、一閃、一閃。
だが恐れることは無い。
どうせ。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 燃え尽きるのだから。
[メイン2] ルシファー : 旋回する翼と共に『黒き』破壊の波を周囲に充満させる。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
瞬間、俺の身体は、肉という肉が燃え盛り
ピュアブリード───"サラマンダー"を、発露する。
[メイン2] ルシファー : 近づくだけで肌が、肉が、骨が、裂かれ、断たれる。
[メイン2] 松坂さとう : エンジェルハイロゥの、光の如き瞬歩を始め、ルシファーとの距離を縮めていく。
[メイン2] 松坂さとう : 「ぐぅうぅうううッッ……!!!」
[メイン2]
松坂さとう :
破壊の波に肉体が剥がれ、周囲に撒き散らされていく、真っ赤な鮮血。
されど、進む─────!!
[メイン2]
松坂さとう :
そして何より、さとうは─────ブラム=ストーカーでもあり。
自身の体より吹き出るその血液を、キーンナイフへ宿しながら。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───そろそろだ、行くぞ
さあ、死に急いでいるのはどっちか、ハッキリと答えに出そうじゃあないか……!!!」
[メイン2] 松坂さとう : 「"あの子"との"甘い日々"を守るためなら……私は……!!」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「─────こんなところで死ねないって言ってんのよッッ!!!!」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 真っ赤な、一閃。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
"少女"の、能力を目撃しながら
燃え盛り、同時に矛盾───猛吹雪をも跳ね返すほどの冷気を纏いながら
その背中を追う───。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
"あの子"───
その、"砂糖少女"の、決意の絶叫を聞き。
赤き閃が、走ると同時。
[メイン2] ルシファー : 「寄ってきたか……!」
[メイン2] ルシファー : その『赤』を『黒』は弾き飛ばし
[メイン2] ルシファー : 次の一撃に備えようと────
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───『赤』を弾き飛ばした『漆黒』───
だが、赤は完全に弾き飛ばされたわけじゃあない
俺の、瞳にはその『赤』は間違いなく残っていた。
彩り豊かじゃあないか───"ダーク・ラプチャー"
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 北から、猛吹雪をも押しのける冷気を
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 南からは豪雪をも水と化すほどの熱気を
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───……『ギンヌンガガプ』
北欧神話に伝わる、界の創造の前に存在していた巨大で空虚な裂け目。
その神話によると……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
北からの冷気と、南からの熱気が衝突し合いッ!!!
───原初の生命……『巨人』を生んだらしい。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : "砂糖少女"
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
アンタの内にも、冷気と熱気の『ぶつかり合い』を確かに見たッ!
そして生んだッ!
『絶叫』を 『赤い一閃』をッ!
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : ならば俺も生んでやろう───!!!
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
"ユミル"
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───巨人。否、その幻影。
それが眼前に、現れたかと思えば。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
『漆黒』へと
無慈悲に、その拳を叩きこむッッ!!!
[メイン2] ルシファー : 「なんだと……!」
[メイン2] ルシファー : 一度、"弾く"動きの為に開ききっていた『漆黒』は
[メイン2] ルシファー : その瞬間的な連携速度に対して一手、誤っていた。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 呉越同舟的な連携に対して
[メイン2] ルシファー : 無意識の内に、侮っていたのだろう。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 攻撃を防ぎ、その返す刀で目標を消そうとしていた
[メイン2] ルシファー : その、一手間を惜しんだが為に──────
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 一瞬、その『誕生』に間に合わず直撃を受ける。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「────────馬鹿な」
[メイン2] ルシファー : そう、呟いた顔は初めて"無"以外の表情を写しており
[メイン2] ルシファー : 「………イレギュラーが過ぎる…」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 元来、ルシファーにさとうを殺すことは不可能であった。
[メイン2] ルシファー : 彼女を狙う理由
[メイン2] ルシファー : それはつまり『契約』の代行をさせる為であり
[メイン2] ルシファー : 元より一撃で恐怖を与え手懐けるつもりであったのだ。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : それが、こうして
[メイン2] ルシファー : 自分に立ち向かい
[メイン2] ルシファー : 一太刀に繋げた
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 『コイツはもう、俺の手の内には』
[メイン2] ルシファー : 『死んでも収まらない』
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : そう、確信するには十分であった。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 故に、最早ここに留まる理由は消失した。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : ルシファーの敗北である。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「…………チッ」
[メイン2] ルシファー : 怪我を再生させながら最後に一言
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 「……………後は好きにしろ」
[メイン2] ルシファー : 「お前達の勝ちだ」
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : そう呟き、その『黒』は
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] ルシファー : 白き空へと飛び立った。
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2]
ルシファー :
[メイン2] 松坂さとう : ……ぼさり。
[メイン2] 松坂さとう : 血だらけの少女は、積もった雪に倒れる。
[メイン2] 松坂さとう : 辛うじて息は繋ぎ止めてはいる、ブラム=ストーカーということもあり、生命力は他シンドロームと比べても高い方であり。
[メイン2] 松坂さとう : 「はぁ……はぁ………」
[メイン2] 松坂さとう : さとうを中心に、赤が広がっていく。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
まるで見送るように空に炎を掲げたかと思えば
その眩しさに、目を細め───ゆっくりと炎を握りしめると同時
『巨人』は消え去る……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
シュガー
「…………! "砂糖"!」
[メイン2]
松坂さとう :
そして、空を見上げる形となり
遠くへ、もう既に点となっている『黒』を見届け。
[メイン2] 松坂さとう : 「………"灰"には、できませんでしたね」
[メイン2] 松坂さとう : にへらと、笑みを見せる。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ああ、どうやらあの"漆黒"は"白"とは混じらないらしい……
だが、黒と白で一番芸術的でおいしいのは"握り飯"と相場が決まっている」
[メイン2] 松坂さとう : 「……握り飯、ですか」
[メイン2] 松坂さとう : と、話し終えると。
[メイン2] 松坂さとう : ぐううう。と腹の音が鳴る。
[メイン2] 松坂さとう : 「………………」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「…………心配して損したか?」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 俺は、血の広がっていく彼女から聴こえたその音に呆気にとられた。
[メイン2] 松坂さとう : 「………うるさいですよ」
[メイン2]
松坂さとう :
「……私達は、オーヴァード」
呼吸を整え、ゆっくりと立ち上がり。
[メイン2] 松坂さとう : 「………傷は、直ぐに治りますから ─────疲労は、蓄積はしますけどね」
[メイン2] 松坂さとう : そうして再び、もう空に無い
[メイン2] 松坂さとう : 『黒』を、見るように。
[メイン2] 松坂さとう : 「……アッシュズさん」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「…………慣れないな
"ガキ"が目の前で、血を流す姿は───……何だ?」
[メイン2] 松坂さとう : 「……もう"私"の任務は、達成してしまったようですね」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「そのようだ、どうやら"今回に関しては"
君をとりまく柵は、どうやら解けたようだ……な」
[メイン2] 松坂さとう : 「……はい、私は……遺産の破壊のために動いておりましたが」
[メイン2] 松坂さとう : 「それはつまり─────"FH"(テロリスト)に、遺産を渡したくない」
[メイン2] 松坂さとう : 「『日常』を壊してほしくない」
[メイン2] 松坂さとう : 「……それが、私の企みでしたから」
[メイン2] 松坂さとう : 「……そして、集められたFHエージェントの中で、回収に乗り気だったのは─────あの漆黒の羽の主」
[メイン2] 松坂さとう : 「"ダーク・ラプチャー"さんのみ……です」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───ああ、そのようだ……
となれば後は『UGN』として俺が破壊、いや……もしかするともう
誰かが近くまで向かっているかもな」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
電子タバコを灯らせようとするが
"少女"の眼前───快適室温を再び発動するに留め、しまい込む。
[メイン2] 松坂さとう : 「……いいんですよ?吸っても」
[メイン2] 松坂さとう : くすりと笑いながら。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───いいや
この甘い空気の方が、よっぽど心地よい」
[メイン2]
松坂さとう :
「ただ、料理人なんですよね?タバコなんて吸ったら、味が分かんなくなっちゃいますよ?」
悪戯っぽく笑いながら。
[メイン2] 松坂さとう : 「………ふふ」
[メイン2] 松坂さとう : 「ええ、そうですね」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「────とびっきりに、"甘い"です」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───"砂糖"」
ポイ、と包み紙に包まった飴玉を投げる。
[メイン2] 松坂さとう : それを両手でキャッチし。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
その、一瞬垣間見えた"笑顔"に目を奪われた俺は
思わずキャンディーを投げていた、といっても、結局渡すつもりだったが。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「そろそろ電子とはいえタバコはやめようと思っててな
試しにキャンディーで禁煙しようと思ってるんだ……遠慮なく食べてくれ」
[メイン2]
松坂さとう :
「ふふ、それは良いことです。禁煙、成功するといいですね」
緩んだ表情で、それはもう、テロリストの一員の姿ではなく
ただの、一般的な女子高生の笑みで。
[メイン2] 松坂さとう : 甘いキャンディーを、口の中へ。
[メイン2] 松坂さとう : カロ、カロ。と口の中で、飴玉を回しながら。
[メイン2] 松坂さとう : 「……ふふ、甘くて美味しいです」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「───フッ」
少女の笑みには、大人のダーティーなニヤリで返し……
その甘ったるい、笑顔を脳裏に過ぎらせながら。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「あっ、その紙は捨てないでくれよ」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「それ、ウチが経営してる料理店の無料券だ
ちょうど二枚分重ねてるからな」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「"あの子"と来なよ
俺もUGNの支部長としてではなく……"料理人"として迎えるさ」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
空を仰ぐ。
白い、白い空。俺達は"快適な温度"に包まれて
外の寒さも露知らず。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───それにしても、あの笑顔
どこかで……。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] : 「泣くなよ」
[メイン2] : 「ほら───これ、俺が作ったんだ」
[メイン2] : 「…………」
[メイン2] : 「ど、どう?」
[メイン2] :
[メイン2] : その時、彼女は涙を流し続けながらも
[メイン2] : 満面の笑みを浮かべてくれた
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : ───ウィンストン。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
俺は、かつての博士を信じ
『UGN』に残り続ける。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
かつての博士を信じるために、今の博士を裏切り
そしてかつての博士を信じるためだけに、UGNに居座り……そのためにFHとも『利用』し合う。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
これが
ダブルクロス
『裏切者』ってやつだな───
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
松坂さとう :
ロイス取得
アッシュズ・トゥアッシュズさん 〇"甘い"/利用
私達は『敵』同士、『利用』し合ってただけ
……それでも、暖かな繋がりを感じることができました。
……私だけでしょうかね……?
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : Ending「欲望」 登場:さとう、黒江
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : ─────遠くから、公園での戦いを見ていた私。
[メイン2] 松坂さとう : 「……なるほど」
[メイン2]
松坂さとう :
・・・・
「……黒江さんは、そちら側の道を選ぶと」
[メイン2] 松坂さとう : 吹雪の中、桃色の髪が揺らめく。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 黒江 : 暗く、暗く。
[メイン2] 黒江 : 闇に支配されたような中、一つの豆電球が不安げに揺れている。
[メイン2] 黒江 : ────FHアジト、その一室。
[メイン2] 黒江 : 本来”今回”のメンツの報酬の話をするであったはずの場所は、今。
[メイン2] 黒江 : ただ闇の中に沈んでいるのは二人の少女だけ。
[メイン2] 黒江 : 「……他のお二人は、いないんですね」
[メイン2] 松坂さとう : 顔に影が差し込む中。黒江の方へ、真っ赤な瞳を動かす。
[メイン2] 松坂さとう : 「………」
[メイン2] 黒江 : 車に同席していた二人の事。
[メイン2] 松坂さとう : じっ、と黒江の顔を覗く。
[メイン2]
黒江 :
豆電球が照らす、僅かな光の下。
さとうの目を”見る”。
[メイン2] 松坂さとう : 「……そんなことはどうだって良いじゃないですか」
[メイン2] 松坂さとう : 「それより」
[メイン2]
松坂さとう :
・・・
「─────向こうに、行かれなかったんですね」
[メイン2] 黒江 : 「……」
[メイン2] 松坂さとう : 冷たい声で、静かに、淡々と。
[メイン2] 松坂さとう : 少女の口から、そう述べられる。
[メイン2] 松坂さとう : 「……お互い、"事情"があるのでしょうね」
[メイン2] 松坂さとう : そう言いながら、報酬を鞄に仕舞い。
[メイン2] 松坂さとう : 「……ただ」
[メイン2] 松坂さとう : 小首を傾げ、黒江を見て。
[メイン2] 松坂さとう : 「………私は、ここにいなければならない『理由』がある」
[メイン2] 松坂さとう : 「だから私は、ここにい続けている」
[メイン2]
黒江 :
ただ、そこに立っている。
話を聞くために、そこに。
[メイン2] 松坂さとう : 「─────あなたは?」
[メイン2] 松坂さとう : 真っ赤な瞳で、黒江を見つめる。
[メイン2] 松坂さとう : 「……失礼なこと、言いますけど」
[メイン2] 松坂さとう : 「……黒江さんって、FH"らしく"ないですよね?」
[メイン2] 黒江 : 「……まあ、ね」
[メイン2] 松坂さとう : ……まぁ、この言葉は……私にも、そっくりそのまま返ってくるわけですが。
[メイン2] 松坂さとう : 私と、黒江さんは。決定的に違うものがある。
[メイン2] 松坂さとう : それは─────強い動機。
[メイン2] 黒江 : 「……戦いたくもないし、そもそも、テロ活動なんてしたくない」
[メイン2] 松坂さとう : いや
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : ──────────『欲望』だ
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「……ええ、それは私も『同じ』ですよ」
[メイン2] 松坂さとう : 「ただただ"苦い"ですからね、テロ活動は─────」
[メイン2] 松坂さとう : 「………でも、それを続けなければならない『理由』が、私達にはあるはず」
[メイン2] 松坂さとう : 一歩、黒江へ近寄り。
[メイン2] 松坂さとう : 「……あなたには、それがあるのですか?」
[メイン2] 黒江 : 「苦くても、続ける…理由」
[メイン2] 黒江 : 「……まだ、まだ」
[メイン2] 黒江 : 「私には恐ろしいことが、あるから」
[メイン2] 黒江 : 「FHは、そんな恐ろしいものが多いから」
[メイン2] 黒江 : 「私にはね」
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 : 「『欲望』なんて、ないよ」
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 松坂さとう : 「…………………」
[メイン2] 黒江 : そう、『欲望』。
[メイン2]
松坂さとう :
真っ赤な瞳は、黒江を静かにじっと見つめ続ける。
無表情なまま、ただ、じっと。
[メイン2] 黒江 : 犯罪に手を染めても、人の輪を外れても行おうとするその『欲望』。
[メイン2] 松坂さとう : 「………黒江さん、もう一度伺っても、よろしいでしょうか?」
[メイン2] 黒江 : そんな『命令』は、私にはない。
[メイン2]
黒江 :
FH
「……私は翼の一部だ」
[メイン2]
黒江 :
「だから、そこから脱することは……ないんです」
「羽根は、ただの羽根…だから」
[メイン2] 黒江 : 「……そこから、抜け出るのは…ただただ、恐ろしい」
[メイン2] 松坂さとう : 「………」
[メイン2] 松坂さとう : ……なるほど……この子は……。
[メイン2] 黒江 : ただ。
[メイン2] 松坂さとう : 『仕方なく』、ここにいる─────。
[メイン2] 黒江 : その目は、”灰色”のまま。
[メイン2]
松坂さとう :
ええ、それは私も同じ
私も、私が歩む人生の生き甲斐となる存在─────しおちゃんがいる。
そして、しおちゃんは《不死者》、だから─────"ここ"にい続けるしかない。
[メイン2] 松坂さとう : ただ……黒江さんの『仕方ない』は……。
[メイン2] 黒江 : ……本当に?
[メイン2] 松坂さとう : "色"が違う。
[メイン2] 松坂さとう : 私は、『愛情』の『赤』に対し─────。
[メイン2] 松坂さとう : 「…………」
[メイン2] 松坂さとう : ─────黒江さんは……『諦観』の、『灰』。
[メイン2] 黒江 : 私は仕方なく、諦念すらも飲み込もうとしているのか。
[メイン2] 黒江 : 「FHから抜けて、どうなるかくらいは知ってる」
[メイン2]
黒江 :
ダブルクロス
「────裏切り者扱いで、殺害対象」
[メイン2] 松坂さとう : ゆっくりと、頷く。
[メイン2] 松坂さとう : 「…………ええ、十分……そうなり得るでしょう」
[メイン2] 松坂さとう : 「でも、もう1人は既に……この場には、いない」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、周囲を見渡す。
[メイン2] 松坂さとう : もう1人、この報酬を受け取るはずだった少女の姿を探すように。
[メイン2] 松坂さとう : 「でも……いない」
[メイン2] 黒江 : 「……」
[メイン2] 松坂さとう : 「………まぁ、どこへ行ったかは……察しがつくでしょう」
[メイン2] 松坂さとう : はぁ。と溜息をつきながら。
[メイン2] 黒江 : 影の中、そこにいない彼女を探すように。
[メイン2] 松坂さとう : 「……おそらく彼女は……一部のFHエージェントからひどく恨まれることにはなるでしょう」
[メイン2] 松坂さとう : 「─────それでも、彼女は、彼女の道を選んだ」
[メイン2]
松坂さとう :
「……何故だと思います?」
黒江の、灰色の瞳を見て。
[メイン2] 黒江 : 「……」
[メイン2] 黒江 : 「彼女自身の『欲望』のため」
[メイン2] 黒江 : 赤い瞳を、ゆっくりと見返す。
[メイン2] 松坂さとう : 「それもあります」
[メイン2] 松坂さとう : 「─────ただ、それ以外にも理由はありますよ」
[メイン2] 黒江 : 「……どういう事?」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、さとうは……この場所に似つかわしくない、自然な笑みを見せた。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「『仲間』に出会えたのでしょう」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「裏切るという行為は、とても恐ろしいものです」
[メイン2] 黒江 : 「……『仲間』」
[メイン2] 松坂さとう : 「誰かの期待に背くものですからね……黒江さんの気持ち、私も分かります」
[メイン2] 松坂さとう : 「……それでも、黒江さんがおっしゃるように……」
[メイン2] 松坂さとう : 「『欲望』……つまり、叶えたい夢がある、でもそれはきっと……"1人"では、掴むことはできない……」
[メイン2] 松坂さとう : 「じゃあ、どうしたらいいか?」
[メイン2] 松坂さとう : 「─────頼ったのでしょう、『仲間』に」
[メイン2] 黒江 : 「……そんな、無責任な」
[メイン2] 黒江 : 「『仲間』が出来て、自分の願いのために…FHすらもやめられるなんて…」
[メイン2]
松坂さとう :
「そうでしょうか?」
小首を傾げる。
[メイン2] 松坂さとう : 「……私達は、オーヴァードになったとしても……やっぱり、"ヒト"なんですよ」
[メイン2] 黒江 : 「……ヒト」
[メイン2] 松坂さとう : 「より住みやすい場所に、より安心できる場所に」
[メイン2] 松坂さとう : 「それが、"ヒト"らしい生き方……ですからね」
[メイン2] 松坂さとう : 「……黒江さんにとって、"あの方々"と一緒にい続けるのは」
[メイン2] 松坂さとう : 「"苦い"ですか?」
[メイン2]
黒江 :
「……」
頭の中に、彼女たちの事が思い浮かんで。
[メイン2] 黒江 : ────ある『意志』を持つ、二人の顔。
[メイン2] 黒江 : 「ううん」
[メイン2] 黒江 : 「”人間”じゃなくなって……初めて、話してくれた……”ヒト”たちだ」
[メイン2] 松坂さとう : 頷き。
[メイン2] 松坂さとう : 「……ではもし、黒江さんがここにい続けて、"あの方々"と戦わざるを得ない状況になったら、どうです?どう思います?」
[メイン2] 黒江 : 「………」
[メイン2]
黒江 :
ゆらり、豆電球が揺れて。
ただ…それに無言で。
[メイン2] 松坂さとう : 「"FH"(テロリスト)として……戦いますか?」
[メイン2]
松坂さとう :
「─────戦えますか?」
小首を傾げ。
[メイン2] 黒江 : 「……」
[メイン2] 黒江 : 「”私”なら逃げて、逃げ続けて」
[メイン2] 黒江 : 「戦わなきゃならない、その一瞬になって後悔するんだろうね」
[メイン2] 黒江 : 「あの時、どうにかしておけば…って」
[メイン2] 黒江 : そう、一息で言って。
[メイン2] 黒江 : そして、赤い瞳を見つめて。
[メイン2] 黒江 : 「それは、今だって変わらない」
[メイン2] 黒江 : 「でも」
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 : 「────”彼女”たちなら、”戦わない”」
[メイン2] 黒江 : 「だから」
[メイン2] 黒江 : 「私はそれになりたい」
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 : そう。
[メイン2] 松坂さとう : その言葉を聞き、さとうは、微笑む。
[メイン2] 黒江 : 『黒色』の瞳で、見返す。
[メイン2] 松坂さとう : 「……FHは、『欲望』を叶えるためなら、何をしたっていい、そんな組織ですからね」
[メイン2] 松坂さとう : 「じゃあ、あなたも『欲望』叶えるために」
[メイン2] 黒江 : そして、ごくりと唾を飲み。
[メイン2] 松坂さとう : 「ちょっとくらい、『自由』に行動しちゃってもいいんじゃないですか?」
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、踵を返す。
[メイン2] 黒江 : 「……えっ」
[メイン2] 黒江 : 「……引き留めたり…しないの…?」
[メイン2] 松坂さとう : 「……?」
[メイン2] 松坂さとう : 顔だけ振り向き、首を傾げる。
[メイン2] 黒江 : 向けられた背中に、そう声を。
[メイン2] 松坂さとう : 「だって、黒江さん」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : 「もう私達、『敵』同士じゃないですか」
[メイン2] 松坂さとう : 「なので私は、逃げます」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : そう言い、その桃色の少女は、闇へと消えて行った。
[メイン2] 黒江 : 「あ……」
[メイン2] 黒江 : ゆっくりと黒が同化していって、消えた。
[メイン2] 黒江 : そして、ぽつん。
[メイン2] 黒江 : 明かりがわずかな部屋に一人残って。
[メイン2] 黒江 : 「『敵同士』ってわかってるなら……なんで、この話を…」
[メイン2] 黒江 : そんな言葉も、虚しく闇の中に消える。
[メイン2] 黒江 : 「……」
[メイン2] 黒江 : ……私は、きっと…これからも。
[メイン2] 黒江 : 私の芯はない、私自身は流されるだけ。
[メイン2] 黒江 : でも。
[メイン2] 黒江 : 『誰かが何とかしてくれる』
[メイン2] 黒江 : だから、私もなんとかする。
[メイン2]
黒江 :
彼女みたいに、大いなる命令なんて受けられない。
彼女みたいに、日常を誰かのために守れない。
[メイン2] 黒江 : だからこそ、私は────
[メイン2] 黒江 : 《テクスチャーチェンジ》
[メイン2] 黒江 : 黒のローブが、一転。
[メイン2] 黒江 : 白色へと、変わる。
[メイン2] 黒江 : 「……こんな色だった、よね」
[メイン2] 黒江 : 闇の中に”消えていけない”白は、そのまま部屋を出る。
[メイン2] 黒江 : 羽根は抜け落ちるだけ。翼にはなれやしないが。
[メイン2] 黒江 : 羽根にも、役目はある。
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 黒江 : 手の内の中にあるのは、『真っ白』に輝く花の宝石
[メイン2] 黒江 : 目指すのは、偉大でも甘くも挑戦的でもない
[メイン2] 黒江 : でも苦くも寒くも孤独でもない
[メイン2] 黒江 : 黒白付かない、そんな『日常』だ
[メイン2] 黒江 :
[メイン2] 松坂さとう : 闇の中、少しだけ振り返り。
[メイン2] 松坂さとう : 「─────羽ばたきましたか」
[メイン2] 松坂さとう : 「……そこまで深いご縁ではありませんでしたが、祈らせていただきますよ」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2]
松坂さとう :
ハッピーシュガーライフ
「─────あなたの、"幸せな日々"を」
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう : そうして、少女はまた、闇の中へと足を進めるのだった。
[メイン2] 松坂さとう : 全ては、愛のために─────。
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2] 松坂さとう :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
ending
カヴァー
≪日常≫
登場:アッシュズ・トゥアッシュズ
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
後日、目まぐるしく、そしてけたたましい猛吹雪は去り───
バショ
俺は元の『日常』へと腰を落ち着け、られるというわけでもない
俺には俺のカヴァーがある、"料理人"としての……。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───『ウィンストン』
俺はこの店で、持ち帰りの弁当から
おにぎりやハンバーガーまで作るし、脂ぎったステーキだっていくらでも焼いている
最近は野菜だけで作るハンバーグなんてのも作ったが
いくら食べてもお好み焼きだし、中身が緑色で誤魔化せるわけもなく
今まで肉以外を食べてこなかったような偏食家以外には受けなかった。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
猛吹雪が去ろうが
店の外から聞こえる、雑踏が奏でる不協和音が目まぐるしく
けたたましい。
『色』はついているが。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───いや、あの雪も……色々と彩られていたな。
『銀閃』が飛び、鼻につくほどの鉄の臭いを放つ『赤』も飛んだし
それに……甘かったな。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
…………俺の、ひっそりとした言い訳だが。
サラマンダーとは熱を操る……そして人を構築するのに欠かせないのは『熱』だ
もちろん人の記憶を……全ては宿してないという説もあるが『脳』もそうだ。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
身も凍えるような寒気。茹だるような熱気。
サラマンダーなんだから普通、耐えられるだろ? と思うかもしれないが
まぁ、そこは置いといてくれ……なんだ、なんていうか。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
───記憶が『曖昧』だ。
そう『曖昧』……そういう事にしておいてくれ
俺は、俺にそう言い聞かせると。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
ドアベルが軽快な音を鳴らし
───甘い、甘い桃が靡く。
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ : 「いらっしゃい」
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
UGN支部長───いや、俺は、
今は料理人───
そう『ウィンストン』という店の店主、それ以上でもそれ以下でもない。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
その目を、闇へと隠せば───
俺は何かを引きずるような感じを一つも気取らせず
軽い足取りでテーブルへと向かう。
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
グレーな感情は、いらない。
ダミーな態度、そう思われるかもしれないが。
何、今の俺は記憶が曖昧なもんで、ねえ?
[メイン2]
アッシュズ・トゥアッシュズ :
「ご注文は?」
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :
[メイン2] アッシュズ・トゥアッシュズ :